グレード5級 即興A「伴奏形」の工夫
グレード5級の即興Aは、テーマのあとに2種類の雰囲気の違った変奏を弾く構成です。
1回目の変奏はうまくできても、2回目になると「どうやって変奏して良いのかわからない」と悩む人はとても多いです。
ここでは、2回目の変奏に変化をつけるための伴奏形の例を紹介します。
伴奏形を変える3つのアイディア
拍子を変える
1つ目は、拍子を変えてしまうことです。ただし、4拍子のテーマを3拍子にするのは、意外と難しいので練習が必要です。
テンポを変える
速くしたり、遅くしたりするだけで違った印象になります。その時、その曲に合ったアーティキュレーションで(レガートやスタッカートなど)弾いてください。
音域を変える
左手をオクターブ下にしたり、右手を高音域にしたり。音の位置を変えるだけで雰囲気が変わります。

ここまで紹介したのはすぐにできそうなアイディアです
こいぬのマーチの例
こいぬのマーチで練習してみましょう。
なかなか伴奏形が思い浮かばず、毎回同じになってしまう人は、変奏例を5個用意したので参考にしてください。(メロディ変奏もしています)
テーマ
和音はメロディーに合っていれば下記以外の和音でもOKです。
テーマを弾く時、伴奏形は凝ったものでなくても大丈夫。
変奏例1
伴奏形はシンプル。2/2拍子にして、マーチ風に。
変奏例2
やってしまいがちな例です。

メロディー変奏は良くても、伴奏がテーマの時とあまり変わっていません。
変奏例3
変奏2はイマイチな伴奏形だったので工夫してみました。 音域を低めにして、装飾音を入れたら舞曲風になりました。
変奏例4
8分の6拍子で弾いてみました。ロンド風。
自分の変奏力に自信がない人は、マーチ、ソナチネ、ロンド、メヌエットなどをイメージして練習すると良いと思います。
変奏例5
長調の曲を短調に。
ベートーベンソナタのアダージョやアンダンテをイメージ。

おんぷの運びは簡単で大丈夫です。と言っても音数を減らして伝えたいことを小曲で表現することがもっともむずかしいことなんですけどね。これがヤマハ即興演奏のむずかしさだと思います。
伴奏形で曲全体の表情がかわる
メロディー変奏ばかりに目が行きがちですが、伴奏形を工夫するだけでもテンポ感や曲想は大きく変わります。
音域を低くしてどっしりとした曲にしたり、装飾音を入れて軽やかに仕上げたり。
ピアノグレード5級の即興Aでは、テーマのほか2種類の変奏をします。
二つは雰囲気を変えなくてはなりません。例えば、変奏1はマーチ、変奏2はワルツなど。
ピアノ演奏グレード5級 即興Aで大切なこと
- ダイナミクス、テンポ、音域、装飾音、リズム的な変化、音質(響き)など
- 複雑な伴奏形にするときは、行き当たりばったりではなく十分に練習する
- 演奏は途中で止まらない
- ペダルは曲想に合わせて使う
- シンプルな変奏でOK
すごく当たり前のことだけど、音楽として弾いてくださいね。
即興演奏になると、ペダルなし、音質やアーティキュレーション、テンポ設定などを雑に扱うのはNGです。
それと、メロディのアイディアが出てこなければ、伴奏形を変えるだけでも十分に雰囲気を変えることができるので、いろいろ実験してみてください。
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