今回は、ヤマハの演奏グレード5級 についてお話ししたいと思います。過去に受けて不合格だった人、これから受ける人はぜひ参考にしてください。
演奏グレード5級の科目
- 楽曲(自由曲、課題曲)
- 初見
- 即興A、B

ヤマハのテストは即興があるんだ〜

即興AとBを別室で10分予見(鍵盤は触っちゃダメ)。その後、即興で弾くっていうテスト、ムズイ〜・・

5級からは本番力。

と言っても試験が全てではありません。演奏会を聴きに行ったり、練習する方が断然自分のためになると思います。試験はただの通り道。私にとっては中学生の時に受けた「新しい経験」に過ぎませんでした。
生徒さんに教えるために、もう一度頭の中を整理したことが、私にとっては一番の勉強。アウトプットすることで、よりクリアになりました。
試験用に即興演奏を練習するのはあまり良くないと思います。その時代の良さ、モーツアルト、バッハ、シューマン、ドビュッシーなどの、偉大な作曲家の曲の良さ、を自分でどう弾きこむか。
結局、「曲をどう弾いてきたのか」ということに尽きますね。
即興と、楽曲の演奏は深く繋がっていると思うからです。
ピアノ演奏グレード5級
ヤマハで行っている音楽検定試験のこと。
9〜6級まではピアノレッスン生向け、それ以降は専門を目指す人、演奏のプロなど目指す人など。
必ずしも持っていなくてはならないわけではないけど、ヤマハ講師として勤務する場合、5級以上持っていないと採用しない会社もあります。
受験する実力があるなら、小学生でも受験可能です。ヤマハの生徒さんでなくても受けることができます。ただ、幅広い知識や技術が求められるため、よく勉強してから受けてください。
演奏グレードの特徴は、「即興演奏」という科目があること。これにはAとBの2種類あり、Aはテーマとコードが書いてある16小節程度の楽譜をテーマ→1変奏→2変奏という感じで、3コーラスにまとめるというもの。
Bは、2小節のモチーフから1曲を作り上げるという、なんとも至難です(笑)
予見は別室でAB合わせて10分間見ることができますが、鍵盤で音を出すことはできません。
その他初見があります。
音楽のプロを目指す人が受けるテストなので、そう簡単ではないし、数を打って当たるという考えはやめておきましょう。何より、自分のためにならないから。
ここは、検定マニアの思考で、何でもかんでも級を持っていればお得ということはないです。
演奏グレード5級の科目
- 楽曲(自由曲、課題曲)
- 初見
- 即興A、B
楽曲演奏
課題曲(1曲)
以下を参考にしてください
自由曲(3曲)
いろいろな時代、テンポ、調性のものから選曲しましょう。
注意点があるので、要項を参考にしてください。
以下、ざっくりと記しました。
- ソナチネは選曲不可
- バッハインベンション1番は6〜5級の間
- 複数からなるソナタなどは抜粋可能
- 繰り返しのある曲は試験官の指示に従う
- 暗譜を推奨
- ツェルニーなどの練習曲は不可、ショパンエチュードなどはOK(コンサートなどで演奏される曲が目安)

調性、テンポ、そしていろんな時代や作曲家の作品を選んでくださいね
選曲例
バッハ/シンフォニア1番
ベートーベン/ピアノソナタ第1番ヘ短調第1楽章0p.2-1
ドビュッシー /月の光
グレードの詳細
演奏を間違えたりした場合、ちょっと厳しいかもしれません。もしも止まってしまったらアウトと思ってください。少しひっかけたくらいのミスタッチは、仕方ないと思いますが、そこからどうやって立ち直らせたのか、が重要。
楽譜をめくったタイミングでミスしてしまうなど、余裕がない仕上がりであれば、焦らずに受験を見送りしっかり練習しましょう。

だから暗譜が推奨されてるんだね。
初見演奏
範囲は全調。
1〜2ページくらいの小曲。20秒ほどの予見をしてから弾きます。(予見で鍵盤を触るのはNG)
ここまで勉強している人は、全調勉強しているとみなされるので、スケールやカデンツを練習しておきましょう。
即興演奏
A
16小節程度のテーマ、コードネームと和音記号付き。転回形をうまく使う。2種類の変装を即興で弾く。
弾き方
テーマ→1変奏→2変奏
伴奏付けや和声、即興力が評価のポイントになります。

いまいちな低音ラインや、不自然な転回形で弾いてしまった場合、評価が下がりますよ〜
B
短いモチーフをもとに即興で小曲を作ります。
課題は3つ提示されますが、できそうなものを一つ選んで弾きます。形式は自由。ソナチネ、ロンド、歌謡曲など。
🔹私のレッスンでは、AーBーA (主題ー展開ー再現)を中心に練習してもらってます。

即興力、メロディーと和声の自然な流れ。形式感が評価のポイント!
追試について
合格点に満たなかった科目は、1年以内に追試を受ける資格がもらえます。1年でしっかり実力をつけましょう。
合格点の配分
以下は、要項から抜粋しました。


実施スケジュール
ホームページで確認してください。

合格率は10%以下らしいよ

ヒエ〜

ただの私の体感ですが多分そのくらい。
できるだけ質問にお答えするので気軽に送ってくださいね

終わりに〜グレードのその先
ここまで読み進めてくださった方は、きっと合格への道筋を探していたり、何を勉強すべきか迷っていたり、不合格で落ち込んでいる人かも知れません。
今だからわかることですが、試験という「枠」の中にいると、「正解」だけを探してしまいます。
でも、私自身、いろいろ経験して、音楽はもっと自由だということがわかりました。
そして本当に人の心を動かすのは、もっと別のところにあるもので。
それは、本当に音楽が好きなんだなと演奏から伝わってきたり、
呼吸、
迷い、
ちょっと反抗的だったり、
「不器用さ」でさえも、愛おしくなるような、その人自身の独特のもの。
それは、勉強を超えたところにあるのか、その手前にあるのかは正直私にはわかりません。
確かに練習をたくさんしたから得られたもの、
勉強してその先に見えたもの。
それは知識や技術として、役に立つことがあります。
練習や勉強をたくさんして、知識や技術を得ることは、果てしなく遠い距離を納得した上で、努力できる人です。
それがスタート。
でも言えることは、心を動かされて、それを誰かに伝えたくて仕方がない。
心を動かされた音楽は、1秒あれば宇宙へ行って帰って来れるような距離感。
それがやっぱり音楽の魅力なんじゃないかな、と思います。
それをみんなが聴きたいし、演者は表現したいと思っている。
私も一応、グレードなんか勉強したけど、(決して無駄ではなかった)
知識?とも言えないカケラや断片のようなものが散らばっていて、自分は一体何をしたかったんだろう、という思いだけが残っていました。
小さい頃からやっているので、周りの反応のためにやっていること、
自分のためにやっているのではないイベント、
自分の気持ちとは関係のないところでの盛り上がる行事。
しかしそれがあったから、ここまでやって来られたことは確かなんだけど。
大好きなことを、試行錯誤して頑張ったその結果を、なんとなく他の手柄で私がここまで来れた、という反応も見えた。
せめて自分がやったんだ、という気持ちにさせてほしかった。
今、その時のことを思い出しても、とても悲しくなります。
精神的にまだ大人になり切れていない中で、周囲と、自分の気持ちが大きくズレていたのがとても苦しかった。
しかし今は、その散りばめられた断片を一つにしたら何が生まれるんだろう、という自分への期待感と、まだ見ぬ未来の自分がとても楽しみで、すごく自由にやっています。
「正解」を求めることに息苦しさを感じたら、一度じっくりと自分の気持ちと向き合うのもいいし、好きな音楽をたくさん聴いたり、コンサートに出かけたりしてみてください。
そこには点数も何もない、自分が好きな音楽を聴くだけで、
演奏するだけで、
本当は満足な自分に気づくかもしれません。
でもやっぱりそうじゃない、という人は、辿り着くまでの距離が果てしないということを、理解して取り組んでください。
気持ちが自由になって色々なことが出来てから作った、オリジナル作品。聴いてみてくださいね



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