言葉にしないからこそ生まれるもの
ブログのタイトルは「何もしない時間が最高な理由」としましたが、手を動かしていない時に頭の中で考えていること、という意味です。
手が止まっていても、アイディアは浮かびます。
何もしていない時間こそが、創造のきっかけになることが多いです。
今はAIに情報を渡すと、自分好みの曲が簡単に作れる時代。
だから、気軽にできるというイメージを持つ人もいるかもしれません。
でも、私はいつも1から手動。
特に辛いわけではなく、むしろこの方法が一番しっくりくるんです。
今回はどんな気分で作っているのか、自分なりにまとめてみました。
曲を作ることは、何かに似ている
作曲は信頼できる人と深く話をしているような感覚に似ています。
いつもは心の奥に隠しているような、本当は言いにくいけれど、伝えたいことが少しずつ言えるような感覚。
それに気づいた瞬間、もう隠すことはできなくて本音が徐々に暴かれていくような不思議な想いです。
言葉にしようとすると、なぜか壊れてしまいそうなものや、大切なものは、ほんの少し触れても崩れてしまう危うさ。
音楽はとても繊細なものと思ってます。
私は、いいメロディーを作ろうとは思っていません。
むしろ聴いてくれる人にとって何か心に触れるものがあるならこうじゃないかな、それを自分で想像したら出来ていたという感じです。
作っていると、時々自分が無防備になっているのを感じることがあります。
守りたいものがあるのに、それを出さなければならないジレンマ。
そうして迷う時間がなぜだかわからないけど、かけがえのない時間。
信頼できる人を遠くから見守るようなそんな感覚にとてもよく似ているなとも思ったりもします。
不安定から始まる
何かを形にしようとすると、どうしても気持ちが不安定になる。
自分の中で何かが揺れ動いているのがわかるけれど、それが何なのかはっきりとは分かりません。
焦りや不安が押し寄せてくる瞬間もあれば、突然それが静まって、空っぽな感覚に包まれることもあります。
その度に、自分の中にある何かがもろくて、少しのことで崩れそうな感覚になることもあります。
そんな時には、次に何をすべきか、どこに進んでいるのかすら見えなくなってしまう。
進むべき道がはっきりしないまま、ただその場で揺れているような感じで。
でも、不思議と不安定の中にいるほうが思ったことが出来ることがあります。
自分がどうしようもなく揺れ動いている時こそ、まだ知らない自分が何かを成し遂げる。
だからこそ、その不安定さを抱えたままもう少し先へ進んでみようといつもそう思うんです。
「不安定さ」は「まだ知らない自分」を見つけていく過程
不安定さの中で、自分の中に潜んでいたものが外に出る時。
いつもは気づかずにやり過ごしているようなことが、不安定な状態になると自然と浮かび上がってくる。
ここで言う「不安定」とは、決してメンタルが壊れているという意味とは違います。
それはむしろ何かが変わろうとしている瞬間であり、内面が新しい自分を見つけていくための過程でそれがおもしろい瞬間だなとも思います。
私は、何もかもを白黒はっきりさせることが苦手。
もちろん、仕事や時間に関わることは別として、それ以外の場面できっちりと区分することがどうしても馴染めません。
不安定で揺れ動く状態にも、何か意味があると感じているから。
曖昧さを共有できる人
相手の気持ちを察し合える人だけが私の人間関係。
白黒つけない曖昧さの中にこそ、感情や自分だけの答えが存在していて、それを感じ取れるのは、同類のやり取りを大切にできる人だけ。
私の周りには、なぜか同じような人が集まるけど、しんどいことがあったとしても、乗り越えている姿を遠くから見ていると凛々しいなと、影から応援しています。
曖昧は、白黒をこえる
白黒をつけない、ということは私にとって、迷いというのとは少し違って、何かを決めずに過ごしていると、なぜか柔軟な自分になります。
曖昧なままでいることは、決して弱さや不安定さを意味するわけではありません。
結論を急がずにいることは、深い理解や新しい発見に繋がることがあると思ってます。
ぼーっと過ごし、何かが自然に形をなすのを待つ。
揺れ動く状態で浮かんでくるもの。
曖昧さに耐えられる人は、答えを出すこと以上に、そのプロセスを大切にできる人です。
人間の言葉では発しない深いやりとりと、とても関係がある作曲の話。
これは私自身がそう思うだけで、他の人は別の考えだと思いますが。
おわりに
世の中にはたくさんいい音楽があるのに、なぜそれを聴いて感動する人が少ないんだろう、と思うことがあります。
感情を受け止め、共感してくれる人が少ないからかもしれません。
どこか寂しい世の中だと感じることがあります。
外の世界とのやり取りの中で生まれるものは、自分が経験したことのない気持ちもたくさんあります。
だから相手の気持ちを理解するまでとても時間がかかる。
たいがいその微妙な思いは言葉にすることはできません。
頭の中がすごく忙しくなってしまった世の中だからこそ、「何もしない時間」がますます大切に思えてきます。
何もしない時間は、いつもこんなことばかり考えています。
English version/Why Doing Nothing Matters
Ideas in Silence
When my hands stop, ideas appear.
Doing nothing often starts creation.
Creating by Hand
AI can make music fast.
But writing by hand feels real.
Music Beyond Words
Composing is like a quiet talk.
Some emotions break in words—music protects them.
The Power of Uncertainty
Anxiety and emptiness are not failures.
They open the door to a new self.
Living with Ambiguity
Not all things need clear lines.
Ambiguity brings flexibility and discovery.
Quiet Connections
True bonds don’t need many words.
Silent support feels strong and kind.
In a Noisy World
Because life is busy,
doing nothing becomes essential.
コメント